救われるセキュリティというのは,ない。セキュリティとは常に救われないものだ。消えることがない穴を少しでも埋めようと,時間が必要とされる。かけた時間に応じて,穴は埋まっていく(けど,永久に穴はなくならないけどネ)。
ワイヤレスシステムのアプリケーションメーカーであるブルーリンクス社は,ワイヤレス接続技術標準であるブルートゥースを使い,携帯電話の着信音を自動的に下げるシステムを開発中だ。各携帯電話機メーカーは,今後ブルートゥース規格を採用し,自動的に信号をやり取りすることが可能になる。
最初,おぉを,それはすごいと思ったが,ふと,なんでそんなことできるの? と思い直した。勝手にやり取りして音量が下げられるということは,アプリケーション次第で,他にも勝手に情報が送られてきたり,または情報が引き抜かれたりもできるということか? そんなものは普及しないだろう。結局,プッシュ技術がすたれたように,インターネットは,「こちらがアクセスしたときに」常に戻ってくることで成り立っている。勝手に送られてきたり,勝手に操作されたりというのは,親切なサービスであっても,迷惑でしかない。
折しも,ワイヤレス技術のソフト面でのセキュリティの弱さが指摘されている(eWEEK Japanの記事)。妙にiモードが持ち上げられているのは,ワイヤレス用に一からセキュリティを作るより,現存のインターネットのセキュリティシステムを流用できるiモードに,アドバンテージがあるからだ。短い歴史といっても爆発的なネットの普及は,それなりにセキュリティを叩き上げてきた。ブルートゥースに,救いは,まだまだない。
|